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震災復興

 株式会社 シンクタンクみらいは、調査・研究業務の受託を主体とし、社会的な課題に対しての解決策や政策の提言を行い、健全な社会の発展と国民の福祉の向上に貢献することを目的として、平成23年5月に設立いたしました。まだまだ未熟なところもございますが、どうぞご支援・ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
 また、今回の東日本大震災につきましては、未曾有の複合的大災害ともいわれておりますが、被災された方々、関係者の方々には心よりお見舞い申し上げます。

 私がこの業界に入ったのは昭和の終わりで、主に道路計画をはじめとする社会基盤整備の調査業務に携わってきた。当時も昭和57年の長崎大水害、昭和59年の長野県西部地震(大滝村)などの自然災害が発生し、それらの道路・交通網の復旧計画の業務にも協力した経験がある。
 そのような中で、当時ある行政担当者が、『自然災害も人災さえ伴わなければ、社会基盤整備や経済活動にとってある意味有効だと思う』という趣旨のことを話したのを記憶している。確かに、まだバブル崩壊前で公共事業は拡大政策をとっていたし、高速道路網も14,000q構想が打ち出され、概ね25年後の現在には全てのネットワークが形成されているともいわれた時代である。
 「人災を伴わない」という前提があったとしても、残念ながら不幸にして長崎も大滝村も多くの人的被害を出したし、自然災害を社会基盤整備や経済活動の一つの契機ととらえるのはあまりにも失礼な話であったと考える。そもそも人的被害の伴わないものを「災害」と呼ぶかといわれれば、地震も豪雨も単なる自然現象であって、人的被害はもとより、交通網等の社会基盤、田畑・工場等の生産基盤を含めて、社会的な被害を伴ってはじめて「災害」と呼ぶのだろう。
 また、災害復旧という点に関しては、これまでは被災・崩壊したものを、より安全に、より強固に、さらに機能的・効率的に回復するという視点で進められてきたものと考えるが、今回の東日本大震災の復興に関しては、全くこれまでの概念が通用しないことはいうまでもない。対象が社会基盤のみならず、社会保障・雇用・教育、地域産業・経済、エネルギー政策・原発問題、地域づくり・まちづくりなど多岐にわたるし、その裏付けとなる財源問題もクリアする必要がある。「東日本大震災復興構想会議」では、主に規制緩和や財政支援等による「特区的な手法」での復興を目指そうとしているようだが、被災地、被災者にとって希望が持てる『みらい』の姿に向けて、実のある議論を進めていただきたい。
 災害に際しては、自然現象に対する“人の力”があまりにも小さすぎると感じざるを得ないが、産官学はもとより被災された方々の民意を含めた叡智を結集し、過去の関東大震災での後藤新平による帝都復興計画や、名古屋市戦災復興での田淵寿郎による100m道路などの後生の評価が得られる計画立案と実現により、豊かで活力ある東日本の再生を進めていきたいと考えるし、我が社としても協力していきたい。

(2011/6/24 三原)